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     『都庁論文試験の本質』

   29年度改訂版を公開しました。

都庁職員の年収-1,000万円を超えるには-

年収1,000万円というと、高所得者のイメージです。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、世帯収入で1,000万円あれば、日本全体での上位約11%となります。

都庁職員の場合、年収1,000万円となると、40代半ばの課長、というイメージです。
あるいは、40代半ば~50代のベテラン課長代理(旧・係長、課長補佐)で、残業が多い部署にいれば年収1,000万円に届くでしょう。

都庁の若手職員の場合、本庁のそれほど忙しくない部署なら、30歳前後の主任で500~550万円くらいだと思います。かなり残業の多い部署で600万円くらいでしょう。
単独だと、やはり公務員の給料はそれほどではないと感じるかもしれません。

それでは、公務員に多い共稼ぎの場合どうなるか見てみます。

夫婦とも都庁職員のケースでは、30歳前後の若手でも世帯収入で1,000万円となります。
これは、庁内のエリートコースを歩んでいなくてもです。

なお、30歳前後の段階では給料にそれ程の差はつきません。残業代の多寡を別とすれば、本庁の枢要部署でも、出先でも、基本的に同じ給料体系だからです。(管理職の場合は、本庁と出先で差を設けています)
ただし、これはまだ顕在化していないだけで、その後の昇進・昇給の道は既に分かれ始めています。周りからの評価(評判)だけでなく、自分自身の志向など、様々な面においてです。

世帯収入1,000万円のイメージとしては、夫が大企業メーカーの課長で妻は専業主婦、というケースがありそうですが、都庁若手夫婦でも、世帯単位で見ればこうした世帯と同じ収入となります。

出世コースではなくても、与えられた責任はしっかり果たしてきたという40歳過ぎの都庁課長代理(旧・係長)夫婦の場合、世帯収入は1,500万円くらいになるでしょう。
40歳前後でこの金額を一人で稼ぐとなると、大企業でエリートコースを歩むか、大手総合商社といったところでしょうか。

都庁で夫婦とも管理職となれば、40代半ばで世帯収入は2,000万円を超えます。これは、大企業の部長や役員クラスの年収の金額です。

もちろん、世帯を持ちたいかどうかは個人の考え方次第ですが、地方公務員どうし、あるいは配偶者の一方が地方公務員という場合は、転勤がないことや、産休・育休後の復帰のしやすさなどから、夫婦共稼ぎをしやすい環境にあります。

ところで、これは筆者が見聞きした範囲のことですので、必ずしも一般化はできないかもしれませんが、共稼ぎ夫婦の金銭感覚は、世帯全体の収入よりも、個人の収入によるところが大きいと感じています。

例えば、公務員の共稼ぎで一人年収700万円という場合、二人合わせれば1,400万円と高収入世帯です。

それでも、贅沢ができるという感覚はおそらく当事者にはありません。自分は年収700万円なのだから、そこまで高所得者ではないという意識があるためです。

この点は、一家の大黒柱が一人で1千数百万円、2千万円と稼いでいる世帯とは感覚が違うと思います。世帯収入で見れば、両者はあまり変わらないのですが。

そうしたことで、公務員共稼ぎ世帯では、経済的に余裕があっても、住んでいる場所や車、遊びも堅実(地味)なケースが多いようです。そのかわり、結構な蓄えがあったりします。

以上は、夫婦共稼ぎの公務員を前提に考えてきましたが、これからの時代は単身世帯の割合が増加していくと予測されています。

そこで、単身世帯と、共稼ぎ公務員の暮らしぶりを比較してみます。

統計的には、単身世帯の生活費に関する支出額を1とすると、二人世帯の支出額は1.4、三人世帯で1.7とされています。(生活水準が同程度の場合)

あくまでも一般論ですが、一人あたりで400万円(手取り)を稼ぎ、350万円を消費する生活水準をベースに計算すると、以下のようになります。

① 一人世帯 : 収入 400万円、支出 350万円、余り   50万円
② 二人世帯 : 収入 800万円、支出 490万円、余り 310万円
③ 三人世帯 : 収入 800万円、支出 595万円、余り 205万円

※ ①単身、②夫婦(共稼ぎ)、③夫婦(共稼ぎ)と子一人

家計の面では、共稼ぎ世帯の方が単身世帯よりも有利になりそうです。

実際には、夫婦共働きだと外食が増えたり、グレードの高いマンションに引越したりと、生活水準を切り上げるケースが多く、上記モデルのようには毎年お金は残らないと思いますが。


なお、都庁の給与水準に関しては、勤続年数ではなく、仕事での業績や職責(役職)に応じて決まる制度に徐々に変わっています。(現状では、まだ年功的要素も色濃いですが)

みなさんも、都庁に入れば40代の頃にはこれくらいもらえるだろう、といったイメージをお持ちだと思いますが、今から20年も経過すれば、都庁の給与制度は、当局が目指している方向にかなり変わっているはずです。

勤続年数相応の役職に就いていないと、現時点で「40歳ならこれくらいは」と思っていた給与は、もらえない可能性が高いでしょう。

出世コースを歩むかは別としても、現在考えられている「都庁らしい給与」をもらうには、ある程度の役職を昇っておく必要があります。

これから都庁に入る方、都庁人生を歩み始めた方の場合は、まずは主任試験に合格することです。主任昇格後、職場のリーダーの役割を5年間しっかり務めれば、(管理職試験に合格していなくても)、課長代理に昇任することができます。
ここまで来れば、中長期的な給与制度の方向性を考えても、少なくとも「都庁らしい給与」水準は確保されるでしょう。

人事当局としては、そこで落ち着いてほしくないという見解でしょうが、職員の視点では、処遇に関しては「ひと安心」と言えます。

都庁に入った後も競争や選抜があるのか、他の組織に入ったほうが楽ではないか、と感じた方もいるかもしれません。

昇任試験のない多くの自治体では、勤続年数に応じて役職を上げる運用が行われてきました。よほどのことがなければ、少なくとも係長・課長補佐級には定年までに到達できる仕組みです。
その結果、係長級未満よりも、係長級以上の人数が多い(いわば、部下よりも上司の人数が多い)という自治体もあります。

しかし、人件費が膨らんでいる点を国(財務省)に切り込まれており、遅かれ早かれ是正されると見込まれます。(国も、こうした実態を黙認し、地方交付税で支えるほどの財政余力がなくなってきたとも言えます)

最終的には、ある自治体が現行の給与水準をどうしても保ちたいのであれば、、住民税や固定資産税などを自治体の責任で増税し、自力で賄ってくれと国に突き放される可能性もあります。

あるいは、職員総数のうち管理職は10%以下、課長補佐・係長級は30%以下など、自治体の「標準役職数」まで国が管理することになり、もはや「自治体」とは言えなくなるかもしれません。

都庁での昇給、昇進に関する詳細については、拙著 『本音の都庁インサイト』で、出世コースに乗った場合や、出世を諦めてのんびり働いた場合でどれくらい開きが出るかなど、シミュレーション等を紹介していますのでご参照ください。

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