都庁面接官が心配していること

面接官も、自分が合格点を付ける以上は、都庁の仲間になって、将来の都政を担う人材として活躍してほしいと思っています。

面接官が高い得点を付けた場合、筆記試験との総合点次第とはいえ、最終合格の確率がそれだけ高くなるため、高得点を与えるべきかどうか判断する際に気になる事項があります。面接では、そうした面接官の懸念を払拭させる必要があることも念頭に置いてください。

懸念1.内定の辞退

基本的に、一定割合の辞退者が出ることを想定して合格者数を決定しています。都庁に関しては、第一志望だと言わないとそれだけで落とされることはありません。


一方、極端なケースですが、都庁しか受けていないというのも、面接官としては気になることがいくつかあります。必ずしも熱意があるとは見做しません。

国や他の自治体、民間企業とどちらにするか迷っているという程度なら、
都庁で活躍してくれそうな人材であれば、まずは内定を出しておいて、後で判断した結果でも、あるいはもう一つのほうがダメになったからでもいいので、入都してから都の仕事に魅力を感じて活躍してもらえればよいくらいのスタンスです。

もっとも、いくら優秀でも、明らかに志望度が低い、または都政にかける熱意が見られない受験生をたくさん合格させてしまうと、全体の採用計画や人材育成計画に影響を及ぼしかねません。

必ずしも第一志望でなくてもよいですが、都庁への就職を真剣に考えている姿勢が見えなければ、最終的な評価に影響するでしょう。

なお、採用当局の視点では、「都庁への就職を真剣に考えている」とは、「都庁に入りたい」「内定がほしい」「受験勉強をこれだけ頑張った」ではなく、「都庁の仕事に携わりたい」「都庁で活躍したい」です。

ただし、受験生が都庁への就職をどれくらい真剣に考えているかは、やり取りを通じて面接官が判断することであり、受験生の言葉を鵜呑みにしてくれるわけではありません。

懸念2.入都後にすぐ辞める

資格試験からの転向者や、他社が本命などの場合で、やっぱり本命が諦めきれないので入都後に辞めるというケースもありえます。

新規採用の初年度は人材育成にかなり投資していることや、特に年度途中の退職の場合は人員の補充が難しく、配属先に迷惑を掛けることになるため、人事当局としてもそうした事態はできるだけ避けたいと考えています。

出先に配属されて嫌だとか、思っていた仕事と違うと言ってすぐに辞めてしまうことがないか、スケールの大きい仕事という漠然としたイメージだけで志望していないか、都庁の仕事をちゃんと理解した上で志望しているかどうか、面接で確認されるはずです

場合によってはしつこく、圧迫だと感じるくらい聞いてくるかもしれませんが、採用に責任を持つ面接官にとっては、それだけ気になる事項だということです。

なお、都庁に入ってみて嫌なら転職すればいいという考えもあるかもしれませんが、転職の際にも、なぜ前職をすぐ辞めたのか、前職を選んだ判断が甘かったのではないか、転職後もすぐ辞めたりしないか、つっこまれる可能性が高いので、慎重に判断してください。

懸念3.入都後、周りに迷惑をかける

都民や同僚と頻繁にもめる、上司や先輩の言うことに聞く耳を持たない、といった場合は、周りの職員でそれをカバーするために時間と労力を取られ、組織の動きを停滞させてしまいます。こうした事態も人事当局としては避けたいものです。

そういう意味では、面接でけんか腰になったり、黙り込んでしまうのは良くありません。(緊張のため少し間が空いてしまうくらいは、面接官も想定しています)

厳しい質問をされても、自分なりの考えを何とか伝えようと、多少動揺しながらでもコミュニケーションを続けられる人材、あるいはそうしようと努力する姿勢の見られる人材であれば、少なくとも不合格点は付きません。


また、話す中身に問題がなかったとしても、面接官のほうを見て話していない、ずっとうつむいているといったことも、相手と向き合う意欲があるのかと疑念を生みかねません。話す際にこうしたクセがある方は要注意です。
面接官が話に付いてきているか、納得している様子かといったサインも読み取れませんので、戦術的にも得策ではありません。

なお、(外国語検定の口頭試験のように)一回のやり取りごとに採点しているのではなく、採用試験の場合は面接でのやり取りを全体として見ていますので、一回くらい答えに詰まって沈黙してしまっても気にする必要はありません。面接全体を通して、面接官とコミュニケーションを取ることができれば大丈夫です。


面接官としても、現時点で自分が抱いている印象が正しいのかどうか、別の角度から質問しながら確認を行うはずですので、挽回するチャンスはあります。



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